質問と回答

どれくらいの頻度で発泡剤の追加をしていますか?

膨らみ不足の画像を指標にすると結構な確率(半数以上)で発泡剤を追加しなくてはならないと思いますが。もし低率なら飲むときの工夫などがありましたら教えてください。

 
『その2』でお話ししている『サイン』を目安とすると、多くの場合『追加』しなくてはなりません。頻度としては “半数以上” もありうると思います。この原因の多くは「発泡剤の飲用方法」だと思っています。『水で or バリウムで発泡剤を飲んでもらう』どちらにしても発泡剤は『水』と反応して炭酸ガスを発生させています。『バリウムで』でもバリウム懸濁液内の『水分』との反応です。発泡剤と水分が『ちゃんと』反応するように飲んでもらうことが必要です。では「飲むときの工夫は?」「どのように飲んでもらえば?」についての詳細は、過去のアーカイブ動画「第15回胃X線検査を楽しく学ぶ会」の『知っておきたい撮影手技の基本』で発泡剤の飲ませかたについて解説しておりますので、そちらをぜひご覧ください。

発泡剤の追加回数について

検査の後半であっても発泡剤を追加したほうが良いですか?
追加する回数に制限はありますか?
前壁撮影時に空気が抜けることが多いのですが、追加はどのタイミングがいいでしょうか?
追加しても抜けてしまう場合、何度も追加すべきでしょうか?その場合の発泡剤の投与量はどの程度にすべきでしょうか

 
『その1』では「『標的部位』が広く描出できなければ『追加』しましょう!」でした。それは、撮影のどのタイミングであっても同じだと思います。なので、撮影中「『標的部位』が広く描出できていないなぁ」と思ったら『追加』です。ただ、いくら追加しても空気量が減ってしまうような『胃』は残念ながらあります。噴門・幽門がいつも開いているような『胃』は撮影中、『食道側へ』、『十二指腸側へ』空気が逃げてしまいます。そのような胃の場合は、ある程度の『標的部位の広さ』で対応しなければならないと思います。私は、1〜2回の追加で、「空気量がたりないなぁ」と感じたときは『2.5g』追加しています。『それ以下の量の発泡剤の追加』くらいの『空気量不足』であれば、追加なしで対応できると思います。

追加の際は何で飲んでもらっていますか?その後のローリング回数は?

 
検査開始のときの発泡剤は『バリウム懸濁液』での飲用ですが、『追加』のときは、発泡剤 2.5g を『水』10cc程度で飲用してもらっています。追加後の『胃の中のバリウムの濃度低下』が気になるようでしたら『バリウムで』もアリだと思います。が、『バリウムで』だと発泡速度が遅いためか「泡」や発泡剤の「顆粒の残り」が気になります。追加後のローリングは1回以上です。『何回』とは決めていません。『追加』後のバリウムの付着を確認しながらローリングしてもらいます。

発泡剤を飲んだ後の急な体調変化について。対策は?

胃が痛くなる、気分が悪くなる、血圧が下がるなど

 
以前、『水』で発泡剤を飲んでもらっていたときは、迷走神経反射により血圧低下や失神などが稀にありました。原因としては、急な胃のふくらみによる『刺激』によるもののようです。バリウムで発泡剤を飲用してもらうようになってからは、胃のふくらみが「ゆっくり」になったためか、急な体調変化は起こりづらくなったと思います。迷走神経反射は、ストレスなども関係するようなので、検査前にリラックスしてもらえるような環境(受診者との接し方を含めて)を作ることも対策のひとつだと思います。また急変により転倒してしまうこともありますので、発泡剤の飲用のときは『椅子などに座ってもらいながら』も良いと思います。

ゲップが我慢できない受診者はどうしたら良いでしょうか?

撮影1回ごとに追加?
バリウムの流れが速くなくなってしまう。追加回数を減らす?バリウムを追加で飲ませる?

 
いくら追加しても空気量が減ってしまう(ゲップをしてしまう)ような『胃』は残念ながらあります。噴門・幽門がいつも開いているような『胃』は撮影中、『食道側へ』、『十二指腸側へ』空気が逃げてしまいます。このような胃の撮影は『100点』は目指せないと思います。『合格』『60点』を目指して頑張るしかない。また、飲んでもらったバリウムが、すぐに腸管に流れ出てしまう様な『胃』もあります。こちらも『100点』は目指せない『合格』『60点』を目指して頑張るしかないと思います。バリウムが胃の中になくては何度ローリングしても胃の粘膜面は見えてきませんので『バリウムを追加で飲んでもらう』ことは必要だと思います。発泡剤の追加回数』については、検診は『精度』と『効率』のバランスです。1体位ごと毎回追加は、実際の検診現場では現実的ではないと思います。が、「『標的部位の広さ』がある程度確保できている画像のための追加回数は必要だと思います。